全国少年警察ボランティア協会

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事業紹介

活動紹介
2022.06.15

令和4年度「青少年の非行・被害防止全国強調月間」について

内閣府では、昭和54 年度以来毎年7月を「青少年を非行から守る全国強調月間」としてきたが、平成22 年度に、児童買春や児童ポルノといった福祉犯の被害防止も重点課題に加え、「青少年の非行・被害防止全国強調月間」と名称変更して実施してきている。
本年度も、青少年を取り巻く環境の変化を踏まえつつ、引き続き、幅広い関係省庁の参加と関係団体の協力・協賛を得て、国民の意識の高揚を図り、青少年の非行・被害防止のための活動を全国で集中的に実施する。

1. 趣旨

我が国における少子高齢化、インターネットの利用拡大等の進展は、青少年を取り巻く環境にも大きな影響を及ぼしている。

青少年の非行情勢については,令和3年の刑法犯少年の検挙人員は戦後最少を更新したものの,人口比では成人と比べ依然高い水準にある。今般、我が国における成年年齢が18歳に引き下げられるとともに、18歳及び19歳の少年について特例を定めた改正少年法が施行されたが、引き続き、18歳以上の少年を含めた少年の健全育成及び非行防止のため、関係府省庁、関係諸機関・団体等が有機的に連携しつつ、非行防止活動に積極的に取り組まなければならない。

青少年の被害の現状については, スマートフォンやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を始めとする新たな機器・サービスが急速に普及し,青少年を取り巻くインターネット利用環境が一層多様化する中で,SNSに起因する事犯の被害児童数は、高い水準で推移するなど、子供の犯罪被害は深刻な状況にある。また、新型コロナウイルス感染防止のための「新しい生活様式」の定着に伴い、子供が自宅でインターネットを利用する時間が増え、不適切な受発信により、犯罪やトラブルに巻き込まれる機会の増加も懸念される。

次代を担う青少年の育成は、社会全体で一体的に取り組むべき課題であり、国、地方公共団体、関係団体等が、それぞれの役割及び責任を果たしつつ、相互に協力しながら、地域が一体となった青少年の非行・被害の防止のための取組を進めることが必要である。

このため,学校が夏季休業に入る7月を「青少年の非行・被害防止全国強調月間」(以下「月間」という。)とし、関係機関・団体と地域住民等とが相互に協力・連携しながら、青少年の非行・被害防止に向けた諸活動を集中的に実施することにより、青少年の健全育成について国民の理解を深めるとともに積極的な参加を促し、国民運動の一層の充実と定着を図ることとする。

なお,取組に当たっては,「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和3年11月19日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)に基づき,まん延防止に努めるとともに,地域の実情に応じた効果的な活動を行うこととする。

2. 期間

令和4年7月1日(金)から同月31日(日)までの1か月間

3. 実施体制

(1)主唱

内閣府

(2)参加

内閣府,警察庁,金融庁,消費者庁,デジタル庁,復興庁、総務省,法務省,最高検察庁,外務省,財務省,国税庁,文部科学省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,国土交通省,環境省,防衛省,最高裁判所,都道府県,市区町村

(3)協力(五十音順)

指定都市教育委員会協議会,全国更生保護法人連盟,全国高等学校PTA連合会,全国高等学校長協会,全国市町村教育委員会連合会,全国児童自立支援施設協議会,全国社会福祉協議会,全国少年警察ボランティア協会,全国人権擁護委員連合会,全国町村教育長会,全国都市教育長協議会,全国都道府県教育長協議会,全国防犯協会連合会,全国保護司連盟,全国連合小学校長会,全日本中学校長会,中核市教育長会,日本BBS連盟,日本PTA全国協議会,日本勤労青少年団体協議会,日本更生保護協会、日本更生保護女性連盟,日本私立中学高等学校連合会,麻薬・覚せい剤乱用防止センター

(4)協賛

青少年の非行・被害防止関連62団体(業界団体等)

4. 最重点課題

ペアレンタルコントロール等によるインターネット利用に係る子供の犯罪被害等の防止

子供のスマートフォンの普及に伴い、SNSで知り合った人に、だまされたり、脅されたりして児童が自分の裸体を撮影させられた上、メール等で送らされる被害等、SNSに起因する犯罪被害に遭った児童の数は、高い水準で推移している。これに加え、外出自粛等により在宅時間が延びた子供が自宅でSNS等を利用する時間が増え、犯罪やトラブルに巻き込まれる機会が更に増加することが懸念される。
このような現状に鑑み、昨年に引き続き、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第5次)」(令和3年6月7日子ども・若者育成支援推進本部決定)の柱の一つであるペアレンタルコントロールによる対応を推進することとし、フィルタリングの更なる利用促進や、「親子のルールづくり」、コンテンツや利用時間を管理するペアレンタルコントロール機能の積極的な活用等について啓発を行う。
あわせて、民間団体・事業者による違法情報の自主的な削除、サイバーパトロール等の取組を支援する。
 また、「子供の性被害防止プラン」(児童の性的搾取等に係る対策の基本計画)2022」(令和4年5月20日犯罪対策閣僚会議決定)に基づき、地域の関係機関・団体等が相互に連携・協力して、児童買春や児童ポルノ製造を始めとする子供の性被害の未然防止、被害児童の保護・支援等に向けた取組を推進する。

5. 重点課題

重点課題1 有害環境への適切な対応

「JKビジネス」等に係る被害を受けることがないよう,学校や関係機関を通じて児童生徒やその保護者を始めとする社会全体に対して,被害事例や相談窓口,被害に遭わないための対処法等について積極的な広報啓発を行うほか,風俗営業所,飲食店等に対し,青少年の福祉を害する違法行為がなされないよう,関係法令の周知徹底を図るなど必要な働き掛けを行う。
また,図書やDVDの販売店・レンタル店等の事業者に対して,有害図書・ソフトの区分陳列,店員が容易に監視できる場所への配置,青少年への販売・貸付けをしないこと等,各地方公共団体の青少年保護育成条例に基づく対策の徹底を指導するとともに,その状況の調査・点検を実施するほか,インターネットカフェ,漫画喫茶,カラオケボックス等を営む事業者に対して青少年の深夜の立入制限の措置を要請する。
このほか,成年年齢については18歳に引き下げられた一方で,引き続き20歳未満の者の飲酒・喫煙が禁止されることから,酒類・たばこの販売時における販売者による年齢確認の徹底を図るなど,20歳未満の者に対する販売等の防止に向けた取組を推進する。

重点課題2 薬物乱用対策の推進

「第五次薬物乱用防止五か年戦略」(平成30年8月3日薬物乱用対策推進会議決定)に基づき,学校や労働関係機関・団体における薬物乱用防止教育・啓発の充実のほか,家庭や地域社会,関係機関等が一体となった薬物乱用の防止に関する指導の充実を図る。
特に,近年,青少年による大麻の乱用が拡大しており,青少年への更なる広がりが懸念されることから,青少年,保護者,地域の指導者等に対して,大麻,覚醒剤,危険ドラッグ等乱用の危険性や有害性に関する正しい知識の普及を積極的に推進する。
さらに,警察等による繁華街や駅前における街頭補導活動等により,薬物乱用青少年の早期発見に努めるとともに,関係機関・団体等によるカウンセリングや相談体制を強化し,治療・社会復帰の支援やその家族への支援等に努めるなど,再乱用防止対策の充実強化を図る。

重点課題3 不良行為及び初発型非行(犯罪)等の防止

少年が非行に陥ったり,犯罪の被害に遭うことのないよう,少年やその家族に対する相談・支援活動等の強化を図る。
また,警察,青少年センター等の関係機関や,地域住民,民間ボランティア等が連携して,地域の実情に応じた組織的かつ計画的な補導活動等を展開し,飲酒・喫煙や深夜はいかい等の不良行為を行っている少年の早期発見に努め,的確な助言及び指導等を行う。
少年の被害も存在するストーカー事案については,被害者にも加害者にもならないよう,警察,教育機関等の関係機関が連携して,防犯教室等様々な機会を捉え,ストーカー行為等の被害実態,具体的事例,予防・対応方法,被害に遭った際の相談窓口等について積極的な広報・教育啓発を推進する。
また,万引きや自転車盗等が犯罪であり,絶対に行ってはならないとの規範意識を少年に身に付けさせるため,学校における非行防止教室の開催等の取組を推進するとともに,事業者に対して,商品陳列棚の配置改善による店舗内の視認性の向上,店員による巡回強化,駐輪場内の監視強化等を要請することにより,少年の初発型非行を未然に防止する環境づくりを進める。
さらに,近年,中学生・高校生を含む少年が,現金を受け取る役割の「受け子」等として,オレオレ詐欺を始めとする特殊詐欺に加担している現状に鑑み,非行防止教室の開催にとどまらず,少年を犯行に誘い込む手口等についての積極的な情報発信や特殊詐欺で検挙した少年と不良交友関係にある少年への注意喚起に努めるなど,少年を特殊詐欺に加担させないための取組を推進する。

重点課題4 再非行(犯罪)の防止

少年が非行を繰り返さないようにするため,再犯の防止等の推進に関する法律(平成28年法律第104号)や同法律に定める「再犯防止推進計画」(平成29年12月15日閣議決定)等に基づき,再非行の防止に関する施策の重要性について,国民の理解を深め,その協力を得られるよう広報啓発を推進する。
また,少年一人一人の問題状況に応じて,学校,警察,児童相談所,保護観察所,少年鑑別所(法務少年支援センター)等の関係機関が支援のためのサポートチームを形成するほか,複数の支援ニーズを持つ一人の少年を,その成長に応じて包括的に支える体制づくり等の取組を一層推進する。
さらに,地域における相談機関相互の連携を強化し,青少年や保護者・家庭からの相談に対し,より的確に対応する。
特に,民間ボランティア団体,公共職業安定所,更生保護関係機関,矯正施設,警察等関係機関・団体が連携し,健全な社会の一員として定着するまでの一貫した就労・修学支援を一層推進する。

重点課題5 重大ないじめ・暴力行為等の問題行動への対応

重大ないじめ・暴力行為等の問題行動の被害に遭っている少年が一人で悩み,苦しむことのないよう,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー,スクールサポーター等による支援の活用を図るとともに,「24時間子供SOSダイヤル」,「子どもの人権 110 番」,児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」,「ヤングテレホンコーナー」等の様々なSOSの受け止めに係る相談窓口における対応
の充実とその周知を図る。
また,様々な大人が関わり子供を見守る体制を構築するため,学校と警察を始めとする関係機関等との連携を強化するとともに,各学校等においても,児童生徒がいじめを受けたり,自分や友人の安全に不安があれば,ちゅうちょすることなく周囲の信頼できる大人に相談できるよう,様々なSOSの受け止めに係る相談窓口の校内における周知やPTA等との連携を進める。
このほか,SNS,学校非公式サイト,プロフィールサイト等における誹謗中傷の書き込み等「インターネット上のいじめ」も含め,重大ないじめ・暴力行為等の問題行動の早期把握や解明に努め,問題行動を起こした少年に対してはその特性に応じた適切な処遇・指導監督を推進するとともに,学校や関係機関からなるサポートチーム等の支援システムを活用して再発の防止を図る。
さらに,インターネット上のいじめは,刑法上の名誉毀損罪や侮辱罪,民事上の損害賠償請求の対象となり得ることや,いじめが重大な人権侵害に当たり,被害者等に深刻な傷を与えかねない行為であることを理解させるための取組を推進する。

6. 留意事項

(1)月間の趣旨の定着化

月間の実施を契機として、月間の趣旨が国民に定着していくようにするため、国民全体に向けた意識啓発や民間・地域住民の主体的取組の促進を重視する。

(2)連絡調整の強化

月間の実施に当たっては、関係機関・団体、地域住民等が一体となって非行防止等のための諸活動を円滑に実施できるよう、関係機関・団体等において、実施計画の策定等により連絡調整を十分に行うとともに、同期間に実施される他の青少年の非行防止等に関する月間等との連携に配慮する。